眠れない人とその違い
不眠は一時的なものであることもありますが、程度が深刻になって本格的に日常生活に支障をきたす場合もあります。
不眠で死ぬことはありませんが、人生や生活の質を大きく下げてしまいます。
また、不眠によって他のいろいろな病気を誘発してしまうことも少なくないため、不眠を放置しておくわけにもいきません。
ひとくちに不眠症といっても、その原因は人によってさまざまです。
不眠症から脱却するための第一歩は、客観的な正しい知識を身につけたうえで、自分が眠れない原因を理解することです。
まずは自分の置かれた状況と心の状態を客観的に見つめなおすところから始めましょう。
▽騒音
ぐっすり眠るためには、どのような環境で眠るかが非常に大切です。
近くに幹線道路があり、一晩中クルマやトラックの騒音が絶えない環境で熟睡することは、簡単なことではありません。
また、クルマの騒音以上に気になるのが、家の外から聞こえる人の話し声です。
コンビニが近所にあると、深夜に若者の話し声や騒ぎ声が気になって眠れないことがあります。
睡眠の妨げになるこうした騒音は、厚めのカーテンをひいたり、耳栓を利用したり、
環境音楽などの音によって騒音を相殺するなどの対処によって、克服しましょう。
▽体内時計の乱れ
体内時計が感じる時間と実際の時間との間にズレが出ている状態だと、眠くなる時間もズレてきてしまいます。
朝寝坊や夜更かしが習慣化してしまった人や、職場の交代勤務制(シフト制)によって
勤務時間が昼間や夜間だったりする人など体内時計が正常に機能していないことがあります。
▽日頃からの慢性的な運動不足
現代人は、多くの人が自覚しているように日頃から運動不足の状態が続いています。
交通網が発達し、どの建物にもエスカレーターやエレベーターが設置され、
自分の足で移動しなければならない機会がどんどん減っているためです。
▽現代人の生活サイクルの乱れ
時代が進むとともに仕事は増える一方ですし、24時間サービス提供型が当たり前となった現代では、
生活はどうしても夜型になっていきます。
遅くまで残業したあとに深夜にコンビニ弁当で夕食をとるなどの典型的な生活スタイルは、
健康的に熟睡するための理想的な生活スタイルとはかけ離れています。
不規則な食事時間、偏った栄養バランス、
不規則な睡眠時間といった現代人にありがちな生活サイクルの乱れそのものが、不眠の原因になるのです。
▽病気や怪我
睡眠に障害がある人は、何らかの病気にかかっているケースが少なくありません。
逆に言えば、不眠症を訴えるということは、時には本人すら認識していない病気が原因で、
体が悲鳴をあげている証拠である場合があるのです。
睡眠に対して満足感が低い人は、自分の生活習慣や体調について、じっくりと見つめなおす良い機会だと考えるといいでしょう。
特にこれといった原因が思い当たらない場合は、精神科や神経科の医師に相談しましょう。
▽身体的不調
肩こり、腰痛、眼精疲労、更年期障害、かゆみ、冷え性、発熱、頻尿、呼吸器疾患、循環器疾患などの体調不良によって、
不眠が引き起こされることがあります。
寝る前に十分にリラックスを心がけ、5分程度でもいいので軽くストレッチをして血行を良くしておくと、
こうした体調不良による不眠は改善できるでしょう。
▽こころの病気
うつ、統合失調症(精神分裂病)に代表されるこころの病気も不眠の原因となります。
うつを原因とした不眠の場合、本当に一睡もできない日が続くなど、深刻な状況になる場合もあります。
精神科などの、うつの専門医に相談してください。
▽ストレス、ノイローゼ、ヒステリー
結婚、出産、引越し、転勤などの大きなイベントがあると本人が意識している以上にストレスを感じています。
こうした精神的負担、不安、緊張によるストレスが不眠を引き起こすことは少なくありません。
ストレスを受けると、体内には乳酸が蓄積され、活性酸素が生成されます。
不眠を引き起こすだけではなく、心筋 梗塞や脳卒中の原因ともなりますから注意が必要です。
慢性的なストレスが原因となっている場合は本人が自覚できずに、
医者に相談することもなく、体調不良が原因だと間違った判断をしてしまいます。
また、眠らなければならない、という精神的プレッシャーがストレスとなり、
眠ろうとすればするほどかえって眠れなくなってしまうことがあります。
眠れない日が続くと、「今日も眠れないのではないか」という不安がいっそう眠りにくくさせてしまいます。
職場の人間関係、夫婦間や親子間の人間関係が原因でストレスを受けると、
心身ともに緊張状態となり脳が覚醒してしまいます。
筋肉に余計な力が入り、血管も収縮するため、血行が悪くなり眠りにくくなります。
ぐっすり熟睡できず、夜中に何度も目が覚めてしまいます。
悩みを友人に打ち明ける、スポーツやカラオケでストレスを発散するなど、気持ちのガス抜きをすることを心がけてください。
とにかく精神的にリラックスすることが大切なので、何事も深刻に考えすぎないようにしましょう。
ストレスはどう受け止めるか、という考え方次第でプラスにもマイナスにもなるのです。
一般的には「不眠症」という言葉で知られていますが、医学的には不眠症という睡眠障害は、大きく4つのタイプに分類することできます。不眠症に悩んでいる人が医師に相談するときは、自分がどのタイプに該当するのかを事前に考えておいてください。
■入眠障害タイプ
入眠障害タイプとは、いわゆる「寝つきが悪い」というもので、不眠症を訴える人の多くはこのタイプに該当します。
寝る直前に仕事のメールをチェックしたり、心配事や悩み事について一人でじっと考えたりすると、寝つきが悪くなるのは当然です。
入眠するまで常に1時間以上かかる場合は入眠障害だと言えるでしょう。
ベッドに入ってから何時間も寝つけない、と自覚症状があるのはとても苦痛です。
それが毎日続くのであれば、それは明らかに睡眠障害です。
眠りに落ちるまでに毎晩数時間もかかる場合は、入眠障害の恐れがありますから医師に相談してください。
■中途覚醒タイプ
眠りに落ちることはできても、夜中に2回以上目が覚めてしまい、すぐにまた眠りに戻れないタイプです。
眠りが浅く、ぐっすり熟睡した満足感がないのが特徴で、
睡眠時無呼吸症候群、うつなどの精神疾患、ストレスなどが原因として考えられます。
特に中高年齢期になると、睡眠の質がどうしても落ちてきます。
深いノンレム睡眠が減り、夜中に何度も目が覚めてしまうなど、熟睡が朝まで持続しない浅い眠りとなってしまいます。
規則正しい生活リズムを取り戻し、食生活にも十分に配慮をした上で、
睡眠と覚醒の切り替えにメリハリをつけるようにすれば、たとえ年齢を重ねていたとしても、
若い人と同じようにぐっすり熟睡して朝まで続けて眠れるようになります。
■熟眠障害タイプ
いわゆる「眠りが浅い」というタイプのことです。
朝まで熟睡した、という満足感がないため、自分は不眠症だと考えてしまいます。
まだ若いのに必ず夜中にトイレに何度も起きるという方もいますが、
トイレから帰ってきてまたすぐに眠ってしまうのであれば、熟眠障害と呼ぶ必要はないでしょう。
夜中にトイレに起きてしまうと、意識が冴えてしまって眠れなくなってしまう、
あるいは家族のいびきで毎晩のように夜中に起きてしまい、一時間ほど寝付けないといったケースは、熟眠障害の可能性があります。
■早朝(早期)覚醒タイプ
自分が起きる予定の時間よりも何時間も早く目が覚めてしまい、
眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプのことです。高齢者やうつの患者によく見られる症状です。
特に楽しみや緊張感といった理由がないのに、
何日も連続して予定より早く目が覚めてしまうのであれば、それは早期覚醒の可能性があります。
多くの場合、過度のストレスといった精神的要因によるものだと考えられますので、
精神状態を安定させることによって、少しずつ改善していく必要があります。
ストレスの時代といわれる現代、日常生活の中にはさまざまなストレスが存在しています。
たとえば、転職、転勤、結婚、離婚、病気、近親者の死なども大きなストレスの要因。
職場や学校などで、自分では気付かないうちにストレスにさらされていることも少なくありません。
ストレスが続くと不眠症になりやすいといわれますが、それはどういう理由からでしょう。
確かに、ストレスが続くと心理的な緊張不安から眠れなくなることがありますが、これはあくまでも一過性の不眠です。
それよりも、一時的な不眠がきっかけで、不眠恐怖症となり、
眠ろうと意識すればするほど眠れなくなるという精神生理性不眠を引き起こしてしまうことの方が問題です。
睡眠には約90分という睡眠サイクルがありますが、ストレスはこの周期を短くして睡眠リズムを狂わせてしまうともいわれています。
最近、なんだか眠れなくなったという人は、まずは身の回りのストレスチェックをしてみましょう。
眠れなくなった頃に何か生活上の変化はなかったか。仕事の悩みや人生の悩み、
家庭問題などがないかを考え、それらの原因をとり除くようにします。
■「枕が変わると眠れない」とはよく聞く話ですが、眠れない原因はさまざまです。
ストレスや昼夜逆転した生活の乱れなどが不眠の原因になることもあれば、
内科的な病気、精神的な病気あるいは服用している薬剤が原因で不眠になることもあります。
また、これとは別に特に原因も見当たらないのに何故か眠れないという精神生理性の不眠があります。
これは、何らかのきっかけで不眠そのものに対しての不安と過度のこだわりから眠れなくなってしまう状態。
「眠らなくては」と努力して意識的に眠ろうとすればするほど、
精神的な緊張が高まりますます眠れなくなるという悪循環が繰り返されます。
実は、不眠症を訴える人の中で最も多いのが、この精神生理性不眠なのです。
性格的には、神経質、几帳面、完璧主義の人に多くみられるようです。
このタイプの不眠は、寝室では寝つけないのにソファに座って
テレビをみたり読書をしているとすんなりと眠れるということがよくあります。
眠ることにこだわり過ぎず、寝室や寝具を工夫したり眠る前にリラックスを心がけてみるのも一つの方法です。

■不眠症の診断では、不眠の原因を確かめるために、またその不眠の治療法を判断するために、念入りな問診が行われます。 問診では、いつ頃から眠れなくなったのか、眠るまでにどのくらい時間がかかるか、 不眠以外に何か症状はないか、など睡眠状況に関するさまざまな質問がなされます。 できれば、病院を受診する前に自分自身の不眠の状態をあらかじめメモなどに整理しておくと便利です。
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